2025/8/26から開催された交香感Ⅱを振り返って

10月も半ば近くなってきて、ようやく秋らしさを感じるのと同時に、運動会は空気の気持ち良いこの季節がいいよねって、それを知っている世代はつくづく思う次第です。

さて、2025年8月26日~31日まで、世田谷美術館分館清川泰次記念ギャラリー内区民ギャラリーにて開催した交香感Ⅱ。総勢90名の方にご来場を頂きました。本当にありがとうございました。久々にお会い出来た方もいらして、私にとっても、とても大切な時間でした。終了後、色々なことが重なっていて、落ち着いて振り返ることが全く出来ず。ようやく、PCに向かっています。

そもそも交香感は、コロナ明けの2022年8月に『交香感-香りと対話する自分または自分を感じる香り』として、世田谷美術館分館清川泰次記念ギャラリー内区民ギャラリーにて開催した香りのインスタレーションアート展です。自分を感じる、感じるのはあなた自身、こちらからはなんの説明もなく、会場内に設置している香りを巡りながら、香りとは全く関係んない質問に答えていくというもの。そして、その関係のない質問を通じて、香りを感じていることにもなっていく。質問に答えはなく、つまり正解はなく、自由に香りを感じ、自分自身が感じていることを最優先に、を感じてもらいたい。感じたことを後ろに置かずに、ということをテーマに開催していました。

このテーマに加え、私にとって大切なポイントが5点があります。
1-本来の和の香りが持つ世界観は、形のないアートである。
2-和の香りが持つ素晴らしさ、創る上で大切なことを伝えたい。
3-自分が感じていることを感じてほしい。そして、そこには正解がないということ。学校の試験には正解がありますが、感じることには正解があるのかと言ったら、ないと思います。学校の試験の影響なのか、正解が常にあると思いがちですが、感じることは人それぞれ違うし、そもそも人生において正解はあるのかどうか。嗅覚には共通言語がほぼない状況なので、相手がどう感じているかが伝わりにくいところもあります。そんな中で、自分が感じていることと他者の感じ方の違いがともにわかり、見た目が同じものを試し、感じることに集中をしてもらいたい。
4-日本の香りの歴史の中には、自分で香りを創り、その香りを使ってゲームのように遊ぶという表現があります。現代における和の香りの新しい表現として、そして自分と対話をするという点を含めた全く新しい遊びであり表現の形を創る。
5-全体的に疲れている人が多く、自分で香りを選べなくなっている=感じる心が小さくなってしまっている。これは2で書いたように化学的なものが多いからかもしれません。6-世の中に溢れる香りは合成香料を使用しているもの含め、本来の昔からの香りではないものが多すぎる。昔からある和の香りのよさが全く伝わっていない。

さて、交香感は一体何かといえば、自分自身と向き合い、感じることを感じる作品ですが、以下の全てで完成するインスタレーションアート作品です。
★会場内8か所に分けて展示されている私自身でオリジナルで創香した8種類の香り。
★香りについての一切の説明のない、香りごとに用意された質問。
★質問シートを見ながら、会場内を巡るご来場の皆様。

?????って感じですが、これが揃わないと完成しない作品です。
会場内に展示している香り。その香りとは関係のない質問。それを見ながら、香りを試しながら、来場者の皆様は自分自身と向き合い、香りを感じていきます。その中で、自分自身がどう感じているのかを感じ頂くようになっています。展示している香りそれぞれには、私が考えたイメージがあります。ただ、それを押し付けることはしません。来場者の方がいかに感じるか、そして一度ではなく、繰り返し行うことで感じ方も変わることがあったりすることも感じながら、自分と向き合って頂きます。嗅覚は特には共通言語がないというか、表現しにくい部分もあるため、自分が感じたことが伝わりにくかったりします。こういう香りですと押し付けたら、それ以上に感じることがなくなってしまいます。そのため、香りをどう感じているのか、それを言葉に具現化するために質問表にご記入を頂いております。これは、自分が感じたことを、違う視点からの言葉で表現するためです。
そして、最後に記入された質問シートを壁に貼り、お一人ずつ、全く違うことを感じていることも、ご覧頂けるようにしたインスタレーションアート展なのです(お香屋さんのプロモーションイベントですか?という質問を頂いたりもしましたが、プロモイベントではありません。皆さんと創るインスタレーションアート展です)。

感じることが自由なら、日常で好き勝手し放題でいいのかと言えば、集団になったらそれはまた別ですし(公共の福祉)、和の香りという形のない世界の中には、創る際に調和というものが存在しております故。ただ、芸術における表現というものは、自由です。感じることも自由です。

そして、交香感を企画開催し、来場者の皆様が記載した質問シートを見て感じるのは、なんて素晴らしい感覚なんだろうということです。特に説明のない香りを感じ、それぞれの言葉が紡いでいく世界は、とても、とても美しい言葉の数々です。日本人の感覚は、本当に素晴らしいし、日本語の持つ美しさよ。

日本の香りの文化は特別です。世界でも類を見ません。香りを使ってゲームのように遊ぶ文化は日本独自です。これは味覚と嗅覚が敏感だから出汁文化が生まれていることをかんがえればわかりますが、同時に、日本人の柔軟で繊細な感性と自由な創造力があるからこそ、形のないもので遊ぶことを思いついたのだと思っております。

交香感Ⅱでは、視覚の寺井ルイさんと聴覚のHello1103さんとのコラボも行いました。
視覚の寺井ルイさんの現代アートの作品の数々。受け取って1枚ずつ見ていく時の絵の迫力たるや。作品自体は10cm四方もありません。小さな作品ですが、圧倒された次第です。壁に貼った時は、気づいたら蝶のような感じになっていました。全部で20枚の作品。この絵の中に入ったら、匂いがあると思うか他の質問へも、色んな匂いが出てきて、視覚から感じられる様々な考えに素晴らしいなと感じる次第でした。
聴覚は色々とコラボをしているHello1103さんに。企画意図をお送りし、制作頂いた2曲を聞きながら、ニヤニヤが止まらずでした。音からどんな色を感じるかという無茶ぶりな質問もしておりましたが、あの無機質な音から様々な色が出てきて、想像力の豊かさを感じています。

前回開催時にここまで色々と書いていなかったので、企画を真似されたこともありました。真似をするのはやめてほしいし、同時に、本来の日本の香りの素晴らしさを伝えられているのかも問いたいと思います。

ようやく落ち着いたので、書き足りない内容をずっと休んでいたYouTubeを復活させて、配信したいなと思ったりもしております。

今回は2023年からの熱い3年間だったからか、2022年とはなかった答えが見受けられました。人間の体は素直です。皆さん、暑い夏を乗り越えてるだけですごいので、秋バテなどにもお気をつけて、ご自愛ください。
次回の開催は2026年に。暑くない時期に行いたいなと思っております。良い場所が見つかるかな。この日本人の感覚や本来の日本の香りの素晴らしさというものを多くの人に知って頂きたく、また感じるということに正解はなく、自分自身がどう感じているのか、それを大切にしてほしいと思っているので、まだまだこの交香感は続きます。次回の交香感Ⅲをお楽しみに!

最後に、お手伝いに来てくださった毎日文化センター東京の受講生である糸永基子さん、ありがとうございました!

ゆらすかおり

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